交通事故の後遺障害は、医学的に交通事故が原因となったことが証明される労働能力の低下や喪失の状態で、その程度が自賠責保険の等級に合致する場合とされています。
したがって医学的に因果関係がうまく説明できなかったり、あらかじめ決められている等級に合致しない場合には、たとえ治療を施したとしてもこれ以上は改善の見込みがない状態が心身に残ったとしても、それは後遺障害と認められず、損害賠償金などを受け取れなくなってしまうおそれがあります。したがってまずは保険会社に自賠責保険支払請求書や交通事故証明書、後遺障害診断書などの必要な書類を添えて後遺障害等級の認定を受ける段取りとなりますが、基本的に審査は書面主義が原則となっており、書類に書かれた内容をもって具体的にどのような等級に該当するのかを医師や弁護士などを含めた専門家の合議体が判断しています。
特に主治医が記載する診断書のなかに不備があったりした場合には、書面主義の関係上、医学的な証明が不十分として認定されないこともあり得ますので注意が必要です。実際に認定される後遺障害の等級ですが、その部位や程度によって第1級から第14級までに分類されており、数字が小さいほうがより重度となっています。交通事故の被害状況は個別のケースによってまったく異なりますが、たとえば両目を失明した場合は第1級などとしてあらかじめ類型化されたものが適用されます。同じ眼であっても片方のまぶただけに一部欠損が残る場合は第14級に分類されています。後遺障害の等級については詳しい交通事故弁護士に相談した方が良い理由のひとつが医学的な知識と法律的な知識の両方が必要となるからで、それが交通事故弁護士に相談するメリットでもあります。
このようにまずは後遺障害が残っている身体的な部位などに注目し、その上で障害の程度の重さを比較検討して、より労働能力の低下や喪失の状況がみられるものを第1級から順に割り振っているイメージです。書面主義はあらゆる認定請求に対して公平で予断のない環境下で審査をするためのひとつの知恵ですが、実物を見ているわけではないので個々の状況が把握しにくい欠点もあります。そこで審査結果に不満がある場合には、異議申し立てをして再審査を求めることもできるようになっています。